私の大好きな作家、喜多川泰さんの「きみが来た場所」を読みました。
この本を読んで、私は、今自分が生きているのはご先祖様が命をつないでくれたおかげであるということをあらためて感じ、感謝の思いがこみ上げました。
普段、自分の現状を悩んだり、逃げ出したくなってしまうことがありますね。
でも、今よりずっと厳しい時代を生きたご先祖様に思いをよせると、自分の悩みがとても小さなことに感じませんか?
どんなときも現状と向き合い、受け入れ、強く生きること。
私は、こんなメッセージを受け取りました。
心に残った点を、書き残したいと思います。
あらすじ
この本には、「子供たちに本当の生きる力を育てる塾をつくる」という理想を持って、脱サラしたものの、ビジネスが思い通りにいかない主人公が登場します。
今やっていることが正しいのかという迷いの中、不思議な出来事がおこります。
不思議なコンビニで手に入れたキャンディを食べると、戦中の祖父母が登場する夢を見るのです。
主人公は、厳しい時代を生きる祖父母の姿をありありと見ました。
そして、その強く生きる祖父母の姿から多くのことを学び、自分も強く生きていくことに覚悟を決めるのです。
戦争の時代と、現代を行ったり来たりしながら、描かれる世界は、とてもテンポよく、どんどん読み進めてしまいました。
子供たちの生きる力を育てる教育とは
主人公が目指したのは、子供たちの生きる力を育てる教育です。
自分の会社が儲かることも、自分の家族が生活していくことももちろん大切なことだが、もっと世の中が良くなることがしたい。寛奈たちが大きくなったとき、こんな国にしてくれて、こんな世界を残してくれてありがとうって言ってもらえるような、将来をつくっていきたい。
これは、きっとすべての人が思っていることですよね。
でも、理想が大きすぎて、実現する方法がわからない。だから、何もできないでいる。という状態が多いのかなあと思います。
就職のためだけの大学。大学に行くためだけの勉強。そのために高校に行って、小さいうちから受験勉強をさせて・・・親はそれが愛情だと思って子供の生きる力を奪っている。
これがいいとも思わない。でも、どうすればよいかわからない。だから、とりあえず、わかりやすいから、良い学校にいくことを目標にしてしまう。
この考えは、昭和生まれの私の時代では特にそうでした。でも、日本にいたときの知り合いのママさんの考え、海外駐在にきているママさん、パパさんたちの話を聞いても、あまり変わっていないような気がします。
主人公は、大人になって仕事をするときに大切なのは、
- 大切なのは仮説と検証の繰り返し
- 新しいことを生み出すために仮説を立てる想像力
- それを実行に移す行動力
- 出てきた結果を検証する分析力
- そこから得た学びを使ってさらに新たな仮説を立てる継続力
と話します。その大切な能力を子供のうちから育てたいと考えていました。
この塾は勉強や受験という道具を使って、子供たちの生きる力を育てたいって思っているんです。大事にしてあげたいのは、笑顔と優しさ、挑戦する勇気です。
良い大学に行くことがすべてではないけれど、子供たちにとって、勉強や受験というのは大切な経験の一つですよね。
知識の詰め込みだけが良いわけではないけれど、勉強することで新しい視野を手に入れたり、面白いと思うことを見つけたりするわけです。
受験をすることで、なりたい自分を真剣に考えたり、その目標に向かってがんばろうとしたりするわけですよね。私も大学受験を通して、とても成長したと思います。
だから、子供に身近なものである、勉強や受験を道具に、知識の詰め込みだけでなく、生きる力を伝えるっていいなあと思いました。
自分に起こるすべてのできごとに理由がある
この考え方を学んでから、私は生きるのがとてもラクになりました。
たいへんなことも、つらいこともあるけれど、それはきっと自分が成長するために起きていることだから、受け入れ、向き合って、強く進んでいこうという勇気をくれたからです。
つらいことがあると、「なんでこんなことが私に起きるの?」と悩んで、とまってしまいがちだけど、そんなときは、今は理由は分からないけれど、何か意味があるんだろうと覚悟を決めて、向き合う、そんなシンプルなことで、本当に楽になります。
自分に起こるすべての出来事に、今この時期に自分に起こらなければならない理由がある。だったら、覚悟を決めて飛び込むべきだ。
今ここにいられることに感謝し、覚悟を決める
自分たちがやりたいことをやる権利を持って平和に生きていられる時代は、ここ数十年になってからようやく手に入れたばかり。明日死ぬかもしれないという過酷な状況の中、必死で家族を守るために生きていた。
それより以前も、大変な思いをして命をつないでくれた。
次の世代には今よりも平和な毎日を、今より自由な毎日をと、多くの大人たちが自分の命をかけて幼い命をつなごうとしてくれた。
そのおかげで生き残ったのが僕たち。
先祖のその優しさを知っておいてほしい。その優しさに守られたからこそ、今こうやって自由な世の中にいきていられるんだ。
一番心に響いたメッセージです。生きていられることに本当に感謝ですね。
今日という一日を与えられたことに感謝して、今日一日使命を果たすために、全力で今を楽しめばそれでいい。それが生きるということだ。そういう生き方を続けているうちに、必ず大きな希望の光が見えてくる。
すべての人間には使命がある
すべての人間に使命があり、それを果たすために必要なものはちゃんと持って生まれている。自分が持ってこなかったものを嘆く必要などない。それは、自分の使命を果たすために必要ないと自分で判断して置いてきたものだからね。
何かをやろうとして、無理そうだと、くじけそうになってしまうけれど、そのために準備してきたのだから、できないことはない。自分を信頼することが大事なんだと思いました。
そして、誰もが持っている使命のことについて。
ほとんどすべての人が複数の使命を持っている。でも、そのうち一つはみんな同じ使命だ。「すべての子供は、大人に自分の使命に気づかせるという使命を持っている」
そうなんだー!という驚きがありました。私も子供が生まれてから、いろいろなことを考えました。責任感というのはもちろんそうだけど、自分がどう生きていくのかなども。
すべての子供は素晴らしい才能を持って生まれてくる。大人になっても、自分の才能を開花させることができない子供が多いのは、周りの大人がその才能を奪うからだ。そして子供の持つ素晴らしさを奪って、自分のようにつまらない大人にすることを教育だと思っている。
子供から学ぼうとせず、自分と同じような分別を子供にすり込もうとする大人は、自分の使命に気づかないまま一生を終える。大人に自分の使命を思い出させるためにやってくるのに、彼らから何も学ぶことができないまま、時間切れになる。
私も、全然自分とは違う娘に、驚き、振り回されているけれど、この中で多くのことを学んでいると思います。
この中に、私の使命があったと気づく時がくるんだろうなあ。
使命といっても一人でできることは限られている。出会う人たちと一緒なら、もっと楽に変えていけると思わないか?
すべては出会いによって実現されていく。自分が何をするかより、誰と出会うか。その出会いは、自分が今できることを精一杯やっていく中で自然とやってくる。同じ志を持ったもの同士は惹かれ合って出会うことになっているんだ。
素敵な出会いが次々に起こり、想像できないところへ連れて行ってくれる。
人生って、なんておもしろいんだろう、なんて素晴らしいんだろう!とあらためて思いました。