この本は、図書館でふと目にとまって、手に取りました。
そのときに、ホロコーストについての本を探していたというわけではなく、本当に偶然の出会いでした。
想像を絶するような悲惨な体験の中でも、希望を失わず、前向きに生きた筆者とご家族の強さに、心を打たれました。
ユダヤ人の仲間たちを守ることを一番に考え、ナチスと交渉したお父さん。
収容所にいても、子供を守ろうと危険をかえりみず行動した勇気のあるお母さん。
私はこんなにも強い意志をもって生きることができるだろうかと自問しました。
終戦後、アメリカに移住するまでにも数年、移住してからも大変な時期は続き、それでも前だけを向いて、混乱の時代を生き抜いた筆者とご家族を尊敬します。
「これもいつかは過ぎていく(ガム・ゼ・ヤ・ヴォール)」
筆者のお父さんが、いつも言っていた言葉です。
いつかは過ぎるのだから、希望を失わず、今やれることをやろう。
そのようなメッセージだと思います。
筆者が経験した辛さに比べれば、今の私はどんなにか幸せだろう。
どんなにつらくても、これもいつかは過ぎていく。
勇気をもって前向きに生きていこうという思いを感じさせてくれた一冊でした。
絶望を感じてしまいそうなときに、手に取ってほしいおすすめの本です。
NHK出版:「4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した」紹介より
1940年にドイツ占領下のポーランドに生まれたマイケルは、ゲットーや収容所暮らしを余儀なくされたのち、わずか4歳でアウシュヴィッツに送られた。
なぜ、子どもが次々に殺されていった収容所で、彼は6か月も生き延びられたのか?悪や絶望がうずまく世界の中で、ひたむきに前を向いて生きたマイケル一族の姿が胸を打つとともに、家族の絆や、希望を失わずに生きることの大切さをあらためて教えてくれる良質なノンフィクション。
